令和年度学校基本調査：少子化と進路多様化が進む令和7年度学校基本統計

「学校基本調査」は、文部科学省が毎年実施する基幹統計調査であり、学校教育に関する基本的事項を把握し、教育行政の基礎資料を得ることを目的としています。
この調査は昭和23年（1948年）に開始され、幼稚園から大学までの全国の学校を対象に、学校数、在学者数、教職員数、学校施設、学校経費、卒業後の進路状況などを網羅的に調査しています。
調査結果は、教育政策の立案や学校運営の改善に活用されており、教育現場における現状把握と課題解決のための重要なデータを提供しています。

調査概要参考URL

https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/gaiyou/chousa/1267968.htm

１．初等中等教育機関の在学者数の動向
幼稚園児数は69万人で、前年度から6万8千人減少した。
一方で、幼保連携型認定こども園は87万6千人と1万8千人増加し、過去最多を記録した。

小学校は581万2千人で12万9千人減、中学校は310万5千人で3万6千人減と、いずれも過去最少となった。
義務教育学校は8万7千人で7,100人増加し過去最多。

高等学校は287万4千人で3万3千人減少。
中等教育学校は3万5千人で400人増、特別支援学校は15万9千人で3,800人増と過去最多を更新した。
専修学校は62万2千人で1万2千人増加し、そのうち高等課程は3万2千人で600人減少。
各種学校は11万2千人で5千人増である。

２．教員数と女性比率の動向
教員数に関しては、女性比率の上昇が注目される。
中学校では45.0％（前年より0.2ポイント増）、高等学校では34.1％（同0.3ポイント増）、特別支援学校では63.0％（同0.1ポイント増）となり、いずれも過去最高となった。

３．高等教育機関の在学者数の動向
大学全体の在学者数は297万人で、前年より2万3千人増加し過去最多。
うち学部は264万6千人で1万8千人増、大学院は27万7千人で5,500人増といずれも過去最多を更新した。
特に大学学部の女子学生数は122万人で1万5千人増加、比率は46.1％に達し、過去最高である。

短期大学は7万1千人で7千人減、高等専門学校は5万6千人で横ばい。
専門学校は56万9千人で1万1千人増加している。

４．高等教育機関の教員数と女性比率
大学全体の女性教員数は5万4千人で、前年より1千人増加し過去最多。
教員全体に占める女性比率は28.2％で0.4ポイント上昇し、過去最高となった。

５．長期的な在学者数の推移
統計資料によると、小学校・中学校・高校ともに、第一次・第二次ベビーブーム期をピークに在学者数は大幅に減少している。
2025年時点でも小学校・中学校の在学者数は過去最少を更新しており、少子化の進行が一層深刻化している。

６．教育現場への提言
・少子化への対応
児童生徒数の減少に伴い、学級規模や学校配置の見直しが進む。
複式学級や地域連携型の教育モデルに対応する必要がある。
・特別支援教育の拡大
在籍者数が増加し続けており、特別支援教育の専門性や協働体制の強化が急務となっている。
・女性教員比率の増加
女性比率の上昇は多様な視点を学校現場にもたらす可能性がある。
働き方改革や管理職登用のさらなる推進が求められる。
・進路選択の多様化
大学・専門学校への進学増加や短大縮小といった進路動向の変化は、高校段階での進路指導に影響を与える。
ICTやデータサイエンス分野の需要増も踏まえた指導が必要。
・教育政策への基礎資料
今回の統計は、教育政策の立案に直結する。
現場教員も国や自治体の施策動向を把握し、学校経営や授業改善に役立てることが望まれる。

調査結果参考URL

https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/kekka/k_detail/2025.htm